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弁護士コラム:永井光弘

マンションに住むということ(その2 理事のなり手)

最新の統計(平成25年末)によると、マンションの建築戸数はすでに601万戸に達しています(※1)。
 そのうち、現在、築後30年を超えるマンションは140万戸(40年超のみで44万戸)となっており、年を経るにつれ急速に築年数が古いマンションが増えています。この数字は、5年後には200万戸(同84万戸)、10年後には277万戸(同140万戸)になると推測されています。5年後、10年後にはマンションの総戸数も増えているでしょうが、それを考えあわせても築30年を超えるマンションは5年後には3棟に1棟、10年後にはほぼ半分近くになっているでしょう。

 

このようにマンションが高齢化すると、大きな問題として、マンションの耐震改修や、建替えの検討という悩ましいことも生じてくるのですが、今回はもっと身近なところを考えてみましょう。理事のなり手の問題です。
 近時はマンションを終の棲家(ついのすみか)と考える人の割合が多くなっていますので、マンションの高齢化はそこに住んでいる住民の高齢化も意味します。現在、世帯主が50歳以上であるマンション全体の約50%とされていますが、これは、今後年々増加しています。
これに加えて、マンションが高齢化すれば、マンションの中で区分所有者が居室を賃貸に出すことも多くなり、また、誰にも住まわれることなく空き室になる居室も増加する傾向にあります。
 このような住民の高齢化や、賃貸率・空き家率の上昇の影響をもろに受けるのは、マンションの管理組合に不可欠な理事のなり手の不足の問題です。アンケート等で理事等の役員を引き受けない理由の最も多いものは「高齢」だからです。 これからは、ご高齢の方が多くなっても安心して理事となることができるよう、まずはしっかりした管理会社を選ぶ(もしくは管理会社にしっかりしてもらう)ということが大事だと思います。また、管理組合の相談役として国家が創設しているマンション管理士に委託し、いざ困った時には理事から気軽に相談できる体制をとることも一つの案です。
 さらに、マンションの管理規約で理事の資格を「現に居住する区分所有者」に限定している管理組合は、理事資格者を広げるためにこの現住要件を外す規約改正も考慮する必要があるでしょう(※2)。こうすれば自分の所有する居室を賃貸に出して現在は別のところで居住している区分所有者でも理事になることができるようになります。
最後に、皆が管理に無関心となるとマンションは急激に荒れていきます。高齢化マンションほどその危険は高いです。自分が居住するマンションは誰かが管理してくれるものではなく、ご自身で管理するという意識を持たれることが重要です。

※1 今回の統計データは国土交通省ホームページの平成25年マンション総合調査(平成26年4月発表)に基づいています。
※2 平成23年の標準管理規約改正で、むしろ現住要件を外すほうが原則となりました。

 

生命保険の受取人

 生命保険に加入する場合、夫の生命保険の受取人が妻と指定されることは多いですよね。 
 昔は夫婦がほぼ添い遂げたので問題は少なかったのですが、現在は結婚したカップルの3分の1は離婚しています(平成22年厚生労働省人口動態統計)。離婚した場合に、自分の生命保険の受取人については十分に気を付ける必要があります。

 

 夫太郎が自分の生命保険の受取人を「妻花子」と指定して、その後に離婚してしまった場合を考えてみましょう。太郎は生命保険の受取人を書き換えることなく亡くなってしまいました。 二通り考え方があります。

 ひとつは、「妻花子」と書いてはあるが『妻』というところが重要なのだ、それが生命保険の契約をした夫の気持ちなのだ、と考えると、花子はもう「妻」ではないのだから、受取人にならず、受取人の指定なしということになります(約款では夫太郎の相続人が受取人になります)。

 もうひとつは、妻とは書いてはあるが、『花子』という個人の名まえが重要なのだ、花子にやるつもりだったのだ、と考えると、元の奥さんの「花子」が太郎の生命保険を受け取ることになります。

 最高裁(※1)は、後者の考え方を取り、離婚した後も元の奥さんである花子が生命保険を受け取ることを認めました。 この事案では、花子が浮気して太郎から離婚されていたのですが(花子は浮気相手と再婚)、それでも花子が生命保険の受取人になったのです。 離婚した場合には、もう一度、自分の生命保険の受取人欄はどのようになっているか確認しましょう。夫太郎(契約者)が生きていたならば、受取人の変更は極めて簡単な手続きでできるのですから。

※1 最高裁昭和58年9月8日判決(ただし、団体定期保険の事案)

マンションに住むということ(その1 管理費)

マンションの建築戸数は平成22年末で570万戸に達しています。国民の1割以上の1400万人の方がすでにマンション住まいです。大阪などの都市部では、この割合が2割以上ともいわれています。
マンションを購入すると、そのマンションの区分所有者として、自動的にマンション管理組合の一員とされます(※1)。そして、通常は、何年かに1回の割合でマンション管理組合の運営のために、「理事」として業務を行うことになります。

 

   理事は、その時々の様々な管理組合の業務を行うことになりますが、いちばん日常的なものは管理費の徴収です。管理費は、マンションの共用部分及び敷地の維持管理のために常に支出される費用です(廊下やエレベーターの電気代等)。月々いくらと決められており、そもそも区分所有者が全員で負担すべきものです。
この管理費を支払わない人がいた場合なのですが、管理費は5年間で消滅時効にかかってしまいます(※2)。
 そして、自分が理事である期間に、管理費がうっかり消滅時効にかかってしまった場合は、理事として管理組合に対する責任問題となってしまいます。そんなことが無いのがベストですが、滞納管理費がある場合は、理事として滞納期間や滞納額をきちんと把握しておかなければなりません。
 また、どうしても支払ってくれない場合には、消滅時効にかけないためにも、裁判手続を執らざるを得ません。その場合、かかる費用としていちばん大きな金額となるのが弁護士費用ですが、困ったことに裁判実務上は当然には相手方の負担とならないのです。
すでに管理規約で対応しているところもあるかもしれません。そうでない場合は、何かで管理規約を変更する際に、管理規約中に、「違約金としての弁護士費用ならびに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に請求することができる。」と書き加えておくことをお勧めします(※3)。
 今後、主として管理組合の理事の立場に立って、様々な法律的なトピックを紹介していきたいと思います。

※1 建物の区分所有等の関する法律2条1項、3条
※2 最高裁平成16年4月23日判決
※3 マンション標準管理規約(単棟型)第60条2項

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